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第二十四回例会 コンサート 「シャンソンの夕べ」 〜ルネサンス時代のシャンソンの変遷〜 |
![]() | 14世紀から16世紀までは、フランス語を歌詞とする多声のシャンソンが、王家や貴族の宮廷で盛んに歌われた時代だった。14世紀以来のシャンソンは、バラード、ロンドー、ヴィルレといった、詩と音楽を決まった形で結びつけた歌曲定型で作られたものが一般的で、15世紀には、ブルゴーニュ公国の宮廷を中心にこの形のシャンソンが愛好された。ブルゴーニュ公国の宮廷における最大の作曲家ジル・バンショワはその第一人者で、ここではその代表的なロンドーのひとつが歌われる。ブルゴーニュの宮廷文化の影響を受けながら、サヴォワ公国の宮廷やカンブレ大聖堂などで活躍した大作曲家ギョーム・デュファイも、ここで歌われるロンドーのように、歌曲定型によるシャンソンを多数残している。 |
![]() | 15世紀の終わりあたりから、多声のシャンソンの様式にも変化が現れる。フランスの王家音楽家として活躍したロワゼ・コンペールは、初めのうちは、ここで歌われるロンドーのように、伝統的な歌曲定型によるシャンソンを作曲したが、やがて自由形式によるものを手がけるようになる。15世紀の終わりから16世紀の初めにかけて活躍した、コンペールと同時代の大作曲家ジョスカン・デ・プレはより積極的に自由形式によるシャンソンを書いているが、ここで歌われる曲はその代表作である。
![]() 16世紀前半に君臨したフランス王フランソワ1世の時代になると、イタリアのルネサンス文化の影響を強く受けたこともあって、多声シャンソンは大きく様変わりする。王家の宮廷詩人クレマン・マロが、新しい自由形式の詩を次々と生み出すと、その同僚の王室音楽家クローダン・ド・セルミジが、マロの詩に親しみ易い旋律とリズムで新しい音楽を作曲していった。最後に歌われるセルミジの3曲はその代表作だが、最後の2曲はマロの詩によっている。 | ![]() |
![]() | セルミジによって開拓されていった新しいシャンソンは、パリの楽譜出版業者アテニャンによって出版されたことで、同時代の作曲家たちに大きな影響を与え、新しい自由形式のシャンソンが多くの作曲家たちの手で生まれ、それがまたアテニャンの手で出版されて広まっていった。フランソワ1世の詩に作曲されたとされるピエール・サンドランのここで歌われる曲はその代表作だが、何と言ってもこのジャンルの最大の作曲家はクレマン・ジャヌカンだろう。ここでは彼の初期のシャンソンのひとつが紹介される。![]() 16世紀の後半にも多声シャンソンが作られ続けるが、ギョーム・コストレはこの世代の重要な作曲家の1人で、ここで歌われる曲の詩を書いたピエール・ド・ロンサールもマロに続く世代の代表的な詩人として知られている。パリで活躍したジャン・プランソン、フランドル出身の作曲家トマ・クレキヨンの作品もそれぞれ紹介されるが、今日の演奏会では、このようにルネサンスのシャンソンの流れが展望できる。 (今谷和徳) ![]() |
日時: | 2006年10月28日(土)午後5時〜 | ![]() |
会場: | 東京オペラシティ・近江楽堂 | |
演奏: | 名倉亜矢子(ソプラノ) 永田斉子(ルネサンス・リュート、ルネサンス・ギター) | |
プログラム: | バンショワ:いつまでもやはり![]() デュファイ:美しい方、私をあなたのしもべにしてほしい ![]() コンペール:恋がそれほどうまくいかないのなら ![]() |
デ・プレ:はかりしれぬ悲しさ
![]() ![]() バンショワ:いつまでもやはり ![]() デュファイ:美しい方、私をあなたのしもべにしてほしい ![]() コンペール:恋がそれほどうまくいかないのなら ![]() デ・プレ:はかりしれぬ悲しさ ![]() ![]() 作者不詳/ファーレーズ編:運命よ、私の人生を歩むままにさせておくれ ![]() モルレイ:エコッスのブランル ![]() ル・ロワ:パッサメッツォ〜ブルゴーニュのブランル〜ミラノ風舞曲 ![]() ![]() プランゾン/アドリアンセン編:うるわしき五月の朝露が ![]() ![]() 作者不詳:美しいひとよ、もし君の心が ![]() ル・ロワ & バラール編: ピモントワーズ〜ファンタジー〜ブランル・ゲ"私が時を無駄にしていると気づいた時" ![]() ![]() ゴルリエール & モルレイ編:ブッフォン〜パヴァーヌ〜ガイヤルド ![]() ![]() コストレー:喉元から、栄誉が押しつぶされると ![]() ジャヌカン:この五月、新しいスカートを ![]() リプ:足取りも乱れて ![]() パラダン:またもや別れの時 ![]() サンドラン:快い思い出 ![]() クレキヨン:わが目よ ![]() アテニャン編:バスダンス"マッダレーナ"〜ラ・ロック〜パヴァーヌ〜ガイヤルド ![]() ![]() セルミジ/アテニャン編: 美しい森へ / 助けて下さい、私の愛に免じて 私はあなたに楽しみをさしあげましょう / 恋をしたゆえ 青春時代に生きているかぎり ![]() ![]() ![]() | |||
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主催: | NPO法人日本ルネサンス音楽普及協会![]() |
第二十三回例会
公開セミナー 「ルネサンスのパトロンと音楽家たちY」 〜英国チューダー家とスチュアート家の音楽活動〜 |
講師: | 今谷和徳(早稲田大学講師) |
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日時: | 2006年7月29日(土) 午後2時30分 | |
会場: | ルーテル市ヶ谷センター会議室 | |
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演奏: | 米田 考(ルネサンス・リュート) | |
主催: | NPO法人日本ルネサンス音楽普及協会 | |
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第二十二回例会 コンサート 「放浪楽師と中世の世俗音楽」 |
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敢えて言えば、宗教音楽の創作活動が途絶えることは有っても、世俗音楽の創作・演奏活動が途絶えることは無かったのではないでしょうか。(断わるまでもないでしょうが、ここで言う"世俗"とは、言うまでも無く"俗っぽい"という意味ではなく、単に"非宗教的"という意味です。) 会報13号より抜粋(戸口幸策先生寄稿)
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日時: | 2006年5月13日(土) 18:00〜 | ||||
会場: | 近江楽堂 | ||||
演奏: | ジョングルール・ボン・ミュジシャン
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演奏曲: | 放浪楽師の音楽 (中世ルネサンスの舞曲エスタンピー、ブランルほか) 吟遊詩人の音楽 (トルバドゥール、トルヴェールなどの歌曲) 民衆起源の音楽 (アルフォンソ賢王編「聖母マリアのカンティガ」ほか) 遍歴坊主の音楽(作者不詳「カルミナ・ブラーナ」ほか) | ||||
主催: | NPO法人 日本ルネサンス音楽普及協会 |
第二十一回例会
公開セミナー 「ルネサンスのパトロンと音楽家たちX」 〜ハプスブルク家〜 |
講師: | 今谷和徳(早稲田大学講師)ルネサンス音楽史専攻 | ![]() |
日時: | 2006年3月25日(土)午後2時30分〜 | |
会場: | ルーテル市ヶ谷センター会議室 | |
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演奏: | 五十嵐正明(ルネサンス・リュート) | |
主催: | NPO法人
日本ルネサンス音楽普及協会![]() ![]() |
当協会後援のコンサート(2006年度) | ||
(1) | メディチ家の夜会 〜ルネサンス古楽と美食の世界へのいざない〜 | |
| 日時:2006年2月25日(土) 18:30 会場:ホテル西洋 銀座 3F 「サロン ラ ロンド」 共催:サヴォアール・ヴィーヴルサロン ロザリウム、ホテル西洋 銀座 後援:当協会の他、イタリア文化会館 | |
(2)
| トレチェントーイタリア・ルネサンスの春 | |
| 日時:2006年4月20日(木)
19:00 会場:ハクジュ ホール 出演:ジル・フェルドマン(S)、ケース・ブッケ(R・Fid) 主催:アルケミスタ 後援:当協会の他、古楽コンクール山梨 | |
(3)
| 目白バ・ロック音楽祭・6月2日(金)〜25日(日) | |
主催:目白バ・ロック音楽祭実行委員会 後援:当協会の他 新宿区 豊島区 文京区 スペイン大使館 経済産業省 東京都歴史文化財団 東京商工会議所新宿支部 | ||
(4) | ザビエル生誕500年記念コンサート | |
第一夜「ザビエル時代の音楽」![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | ||
第二夜「ビウエーラ曲集」![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | ||
第三夜「ザビエル時代のミサ曲」(当協会第二十五回例会ご参照)![]() ![]() |
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第二十回例会
「バッハへの道」 〜独奏ヴァイオリンとリュートの共演〜 |
バッハが生まれる半世紀近く前にヴァイオリンの名手がドイツに居ました。 ビーバー、ヴァルター、ヴェストホフです。 彼らの技法はバッハのヴァイオリン独奏曲に大きく影響しました。 「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」はどうでしょうか。 そして同時代、リュートでは敵わなかったヴァイスの作品は影響を与えているのでしょうか。 ![]() 演奏会は ヴァイオリンを敢えてピリオド楽器ではなく表現の豊かなモダン楽器で、 通奏低音をテオルボという 珍しい組み合わせで、古楽的アプローチにより演奏しました。 ![]() |
日時: | 2005年10月29日(土)午後3時 | |
会場: | 東京オペラシティ・近江楽堂 | |
演奏: | 塗矢真弥(ヴァイオリン) 田村仁良(バロック・リュート、テオルボ) | |
プログラム: | ビーバー 無伴奏ヴァイオリンのためのパッサカリア ヴェストホフ 無伴奏ヴァイオリンのための組曲 第1番 イ短調 ヴァルター 独奏ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ヴァイス ソナタヘ長調(リュート独奏) | |
J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調BWV1004 | ||
主催: | NPO法人 日本ルネサンス音楽普及協会 | |
協力: | 日本リュート協会 |
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第十九回例会 「ルネサンスのパトロンと音楽家たちW」 〜ローマ教皇庁の音楽活動〜 |
日時: | 2005年6月25日(土) 午後2時30分〜 | ![]() ![]()
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会場: | ルーテル市ヶ谷センター会議室 | ||
講師: | 今谷和徳(早稲田大学講師) ルネサンス音楽史専攻 | ||
演奏: | 上島剛之助(ビウエラ) | ||
主催: | NPO法人 日本ルネサンス音楽普及協会 | ||
第十八回例会
「見果てぬ夢の先」 〜16,17世紀のスペイン鍵盤音楽〜 |
”絶妙な解釈、![]() ![]() とスペイン最古の音楽雑誌「RITMO」75周年 記念号で絶賛されたスペイン鍵盤音楽を再現! |
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日時: | 2005年5月14日(土)午後3時開演 | |
会場: | 東京オペラシティ・近江楽堂 | |
演奏: | 西山まりえ(チェンバロ&ヴァージナル) | |
プログラム: |
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主催: | NPO法人 日本ルネサンス音楽普及協会 | ||||||||
後援: | スペイン大使館 |
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第十七回例会
セミナー:「ルネサンスのパトロンと音楽家たちV」 〜フィレンツェ/メディチ家の宮廷音楽〜 |
日時: | 2005年3月26日(土) 午後2時30分〜 | ![]() ![]() ![]()
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会場: | ルーテル市ヶ谷センター会議室 | ||
講師: | 今谷和徳(早稲田大学講師) ルネサンス音楽史専攻 | ||
演奏: | 執行絵里(ルネサンス・リコーダー) 田村仁良(ルネサンス・リュート) | ||
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2004年以前のコンサート・セミナーの模様はこちら |