2013年例会 及び アーリーミュージックコンサート
第5回 秋のアーリーミュージック・コンサート
11月4日(祝月)午後2時~
会場:
東京オペラシティ 近江楽堂

 

第52回例会コンサート
「チェコの吟遊詩人 竪琴ライアーの調べ」
10月19日(土)15:30~

会場:
芸術家の家
演奏:
Jan Braunstein (ヤン・ブラウンシュタイン)
通訳:
あまね 伶
プログラム:
第一部
セイキュロスの墓碑銘の歌
アレクサンダーのパヴァーヌ(アロンソ・ムダーラ)
パヴァーヌ 6番(ルイス・デ・ミラン)
ラ・ブロッセ(ピエール・アテニャン)
シーベグ・シーモア(ターロック・オキャロラン)
アリーナへ(アルヴォ・ペルト)

 
無伴奏チェロ組曲 BWV1007より 前奏曲(J.S.バッハ)
平均律クラヴィーア曲集より 前奏曲ハ長調(J.S.バッハ)
アストゥリアス(イサーク・アルベニス)

第二部
セイキュロスの墓碑銘の歌
エレノア・プランケット(ターロック・オキャロラン)
Ci to husicky 誰のガチョウだろうか?(チェコ民謡)
Noci milá(チェコ民謡 15世紀初頭)
Saltarello(中世イタリア舞曲)
Elsko milá(チェコ民謡)
Shen Har Venahi(グルジア民謡 12世紀)
V širem poli studánecka(モラヴィア民謡)
Ye lovers all(アイルランド民謡)



 
中世・ルネサンス期のチェコ音楽 一口メモ

チェコはボヘミアとモラヴィアの2つの地域に大別されます。西側のボヘミアと西モラヴィアは、ドイツ・オーストリアと国境を接し、14世紀のルクセンブルク王朝時代には、フランスやイタリアとの文化的交流が盛んでした。

一方のモラヴィア東部やスロヴァキア地域は、中世の大モラヴィア王国時代の伝統を残し、ギリシャ旋法など、東方の影響を強く受けています。

大モラヴィア王国のロスティスラフ王は、ローマ教王の干渉から逃れるため、古代スラヴ語を用いた典礼書によって礼拝を行いました。スラヴ語による聖歌は、9世紀後半にローマ・カトリック教会によって禁止された後も、11世紀まで歌い継がれました。

14世紀初頭のボヘミア王ヨハンは、後のアルス・ノヴァを代表するギョーム・ド・マショーを秘書官とし、その息子であるカール4世(神聖ローマ皇帝)は、聖歌隊を増員するだけでなく、世俗音楽を奨励することで、周辺の西ヨーロッパ諸国の吟遊詩人がプラハに集まる文化的環境作りに貢献しました。

14世紀後半に、ヤン・フスの宗教改革によって、チェコ語で賛美歌を歌うことが推奨されると、後にスメタナが「わが祖国」で引用したような美しいメロディーを持つ聖歌が各地に広がりました。特にカトリックの圧力がボヘミアに比べて弱かったモラヴィアでは、フス派失脚後も、民謡を取り込んだ典礼用の音楽は、民衆の支持を集めました。

フス派のカンツィオナール(聖歌集)はモノフォニーが中心ですが、新しい合唱組織では、ポリフォニーの音楽も多数、生まれました。前者を代表する作品には「大カンツィオナール」(1541年出版、ヤン・ロフ編纂)、「シャモトゥイ聖歌集」(16世紀後半、ヤン・ブラホスラフ編纂)、「7つの懺悔の詩篇のための新しい歌」(1571年出版、ヤーン・シルヴァーン編纂)、後者では、「父よ、全能なる神よ」など(16世紀初め、ヤン・フラヌス作曲)、「聖務日課、ドナウ、深い水」など(1550年頃~1595年、ヤン・トロヤン・トゥルノフスキー作曲)などがあります。

1526年にボヘミア王となったハプフブルク家のフェルディナンド一世は、プラハに宮廷楽団を組織し、その孫ルドルフ二世は、クラウディオ・モンテヴェルディなど、16世紀のポリフォニー音楽を代表する作曲家を多く招き入れ、プラハは一時、ヨーロッパ音楽の中心となりました。

ルネサンス期を代表するチェコの作曲家には、クリシュトフ・ハラントやイージー・リフノフスキーらが名を連ねています。


主催:
μ Chamber Orchestra International

協賛:
「芸術家の家」
後援:
特定非営利活動法人日本ルネサンス音楽普及協会

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第51回例会コンサ-ト(解説付き)
「パーセル、その音楽と生涯Ⅱ」
6月2日(日)午後2時~
 17世紀のイギリス最大の作曲家ヘンリ・パーセル(1659~1695)の音楽を紹介するシリーズ、その2回目の本日は声楽作品を中心とするプログラムを組みました。
 1659年の秋にロンドンに生まれたパーセルは、はじめ王室チャペルの少年聖歌隊員を務め、その後ジョン・ブロウやクリストファー・ギボンズから音楽を学んだと思われますが、1677年に王室の24人のヴァイオリンのための常任作曲家に任命されました。1679年、王室とつながりを持つウエストミンスター・アビーのオルガニストとなり、1682年には、王室チャペルのジェントルマン(常任音楽家)となってオルガニストの一人として、また聖歌隊の歌手として活動を始めるとともに、王家のために数多くの作品を作曲しました。王室音楽家の地位は亡くなるまで維持しますが、1689年以降は、活動の中心をロンドン市内に移します。第51回例会しかし、1695年11月、わずか36歳の若さで世を去ってしまったのです。
 この短い生涯の間に、パーセルは実に数多くの作品を書きましたが、その多くは宗教声楽曲あるいは世俗声楽曲といった歌の曲でした。中でも注目すべきは劇音楽でしょう。オペラは1作しか残していませんが、普通の芝居とオペラを組み合わせた形のセミ・オペラと呼ばれる音楽劇をいくつか手がけているばかりでなく、ロンドの劇場で上演される悲劇や喜劇に挿入される劇付随音楽も、数多く書いているのです。
 本日の演奏会では、そうした劇音楽の中から、1683年あるいは1684年頃におそらく国王の宮廷で初演され、1689年春にチェルシの女子寄宿学校でも上演された、パーセル唯一のオペラ≪ダイドウとイニーアス Dido and Aeneas≫の最後で歌われるダイドウの歌、1691年にロンドンのドーセット・ガーデン劇場で初演されたセミ・オペラ≪アーサー王 King Arthur≫から、第5幕の後半の音楽劇の部分でヴィーナスが歌う歌、1692年に同じドーセット・ガーデン劇場で初演されたセミ・オペラ≪妖精の女王 The Fairy Queen≫が、1693年に再演された際に付け加えられて終幕で一人の女によって歌われ、のちには第3幕でニンフによって歌われるようになった≪嘆きの歌≫、1695年にロンドンのドルリー・レイン劇場で初演されたセミ・オペラ≪テンペスト Tempest≫にパーセルが挿入した歌、さらに、1692年上演の悲劇≪オイディプース Oedipus≫に挿入した名高い≪音楽はしばしの間≫、1695年上演の悲劇≪パウサニアス Pausanias≫への挿入歌≪バラの花よりかぐわしく≫が歌われます。
 また、私的な宗教声楽曲のひとつで、1688年に出版された≪夕べの賛歌≫と、1690年にヨークシャーの貴族たちがロンドンで開いた祝宴のために書かれた歓迎歌の中の1曲が歌われるとともに、そうした歌の合間で、器楽合奏曲のソナタが2曲と、鍵盤楽器のための組曲が1曲演奏されます。
今谷和徳(共立女子大学講師)
会場:
近江楽堂
第51回例会
ナビゲーター:
今谷和徳

演奏:
名倉亜矢子(ソプラノ)
古橋潤一(リコーダー)
寺内詩織(バロック・ヴァイオリン)
西沢央子(バロック・チェロ)
能登伊津子(チェンバロ&ルネサンスハープ)

プログラム:
最も美しい島(セミ・オペラ≪アーサー王≫より)
 Fairest isle (King Arthur)Z.628
いとしい、すてきな若者よ(セミ・オペラ≪テンペスト、あるいは魔法の島≫より)
 Dear, Pretty youth (The tempest or The enchanted island)Z.631
嘆きの歌(セミ・オペラ≪妖精の女王≫より) 
 The Plaint (The Fairy Queen)Z.629
3声のソナタ
 Sonata V for three parts Z.794
バラの花より かぐわしく(悲劇≪パウサニアス≫より)
 Sweeter than roses (Pausanias)Z.585
私が地に横たわる時(オペラ≪ダイドウとイニーアス≫より)
 When I am laid in earth (Dido and Aeneas)Z.626
内気なテムズ河は(ヨークシャーの祝祭の歌より、リコーダーを伴う詩歌)
 The bashful Thames (A verse with Flutes in the Yorkshire Feast-Song)Z.333
組曲 第2番(チェンバロ・ソロ)
 Suite II in g minor Z.661
音楽はしばしの間(悲劇≪オイティプース≫より)
 Music for a while(Oedipus)Z.583
4声のソナタ
 Sonata I for four parts Z.802
今や太陽はその先をおおい(夕べの賛歌)
 Now that the sun hath veil'd his light(An Evening hymn on a Ground)Z.193

(Zはジンマーマン(F.B.Zimmerman)による作品目録の整理番号)
第51回例会
感想記
天から降ってくるような美しい歌声にうっとりしました。
バロックを生でじっくり聴いたのがはじめてで本当にすてきだと思いました。
無記名

主催:
特定非営利活動法人日本ルネサンス音楽普及協会


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第50回記念例会
公開セミナ-&コンサ-ト
4月13日(土)午後2時~午後5時10分
会場:
四ツ谷/絵本塾ホ-ル

第一部:
公開セミナ-
「中世ルネサンスの社会と音楽ⅩⅡ(最終回)」
~激動のイングランド~
講師:今谷和徳(共立女子大学講師)

第二部:
コンサ-ト 「ジョン・ダウランド生誕450年記念」
 
中世の英国音楽
♪Doctia「ドクティア」(作者不詳)
♪Novus miles sequitor 「若き兵士は仲間」(作者不詳)

< 演奏>ホムンクルス
牧野克彦
(ハ-ディガ-ディ、中世フィドル、バグパイプ)
河村剛秀
(ウ-ド、ハ-ディガ-ディ、パ-カッション)
小木曽綾
(中世ハ-プ、プサルテリ-、パ-カッション)

♪ Miri it is while summer ilast「夏が続く楽しさ」
(作者不詳)
♪ Stantipes「エスタンピ」(ロバ-トブリッジ写本より)
♪ Edi beo thu Hevene queen「女王陛下に栄光あれ」
(作者不詳)
朗読:「Sun Horse,Moon Horse」
(ロースマリ-・サトクリフ著より)
<演奏>ミュ-チェンバ-オ-ケストラ
あまね伶(ライア-、クラヴィシンバロン)
桐生ももか(朗読)

ルネサンス期の英国音楽
♪ A Fancy「ファンシ-」(ジョン・ダニエル)
♪ La Rosignoll「夜鳴き鶯」(作者不詳)
♪ Mr.drewry`s Accords「ドルリ-氏の調和」
(作者不詳)
♪ Greensleeves「グリ-ンスリ-ヴス」(作者不詳)
♪ A Plaine song「素朴な歌」(トーマス・ロビンソン)
♪ Twenty waies upon the bels「鐘による20の変容」
(トーマス・ロビンソン)
♪ The Queenes good night「女王のお休みなさい」(トーマス・ロビンソン)
♪ A Toy「おもちゃ」(トーマス・ロビンソン)
<演奏>リュ-ト二重奏
永田斉子(ルネサンス・リュ-ト)
上島剛之助(ルネサンス・リュ-ト)

♪ From Silent Night「沈黙の夜から」(ジョン・ダウランド)S,T-V,B-V,Lu
♪ Come Again「さあ、もういちど」(ジョン・ダウランド)S,Lu
♪ Go Nightly Cares「去れ夜毎の悩み」(ジョン・ダウランド)S,T-V,B-V,Lu
♪ Earl of Essex, his galliard「エセックス伯のガイヤルド」(ジョン・ダウランド)S,T-V,B-V,Lu
<演奏>樋口麻理子(ソプラノ)
矢澤勝之(ルネサンス・リュ-ト)
渡辺マリ(トレブルヴィオ-ル)
奥山裕司(バスヴィオ-ル)

感想記
珍しい古楽器の演奏によるやさしい音色
楽しく聞かせて頂きました。
東京都/女性
主催:
特定非営利活動法人日本ルネサンス音楽普及協会


   第4回 春のア-リ-ミュ-ジック・コンサ-ト

 3月20日(祝水)午後2時~

会場:
東京オペラシティ・近江楽堂
出演:
当協会会員の演奏家
演奏活動実行委員会をご参照下さい。)
*詳しくはこちらを御覧ください。
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  2012年例会 及び アーリーミュージックコンサート

   第3回「秋のア-リ-ミュ-ジック・コンサ-ト」

 11月11日(日)午後2時~

会場:
絵本塾ホ-ル
出演:
当協会会員の演奏家
演奏活動実行委員会をご参照下さい。)
*詳しくはこちらを御覧ください。

   第49回例会セミナ-&ミニコンサ-ト
   「中世・ルネサンスの社会と音楽XI」
   ~オルレアン朝のフランスの音楽活動~
  9月29日(土)午後2時~5時

音楽家が音楽を自由に表現できるようになったのは19世紀になってからですが、中世からルネサンスの時代では、音楽家は社会の要求に従い、その枠内で自己の内面を表に現していました。それ故に中世・ルネサンス時代の音楽を理解するには、当時の社会がどのようなものであったかを知る必要があります。社会の動きが理解できれば、社会の要請によって生まれた音楽の意味も明らかになると思います。そこで当協会では、今谷先生著「中世・ルネサンスの社会と音楽」(新版)(音楽之友社刊)をベ-スにCDを聴きながら中世・ルネサンス音楽がヨ-ロッパ全土に花開いてゆく様を、社会との関りから立体的に探求していきたいと企画しました。
会場:
ル-テル市ヶ谷センタ-会議室
第49回例会

第49回例会
講師:
今谷和徳(共立女子大学講師)ルネサンス音楽史専攻
/ 当協会顧問
ミニコンサ-ト: 佐野さおり(エピネット)
小嶋友輝恵(フリュ-ト・ア・ベック)
渡辺マリ(ドゥシュ・ド・ヴィオ-ル)
感想記: いつも今谷先生のわかりやすい解説と適切な選曲で音楽史をたどることができて、ありがたく思います。
後半のミニコンサートも珍しい楽器の演奏が聴けて新しい発見がありました。CDなどで音は知っていても、直接楽器を目にすることはまれですので、うれしく思います。
ありがとうございました。
(栃木県 男性)
主催: 特定非営利活動法人日本ルネサンス音楽普及協会

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   第48回例会コンサ-ト
   「パーセル、その音楽と生涯 I」

 6月9日(土)午後5時~

ルネサンス音楽は1430年頃~1580年頃まで、あるいは1450年~1600年頃の時代の音楽と云われています。日本の歴史では足利義政の時代(1443~1473)から応仁の乱(1467年~)にはじまり戦国時代、そして豊臣秀吉の国家統一(1590年)又は関ヶ原の戦い(1600年)の頃です。ルネサンス音楽の元祖は誰か?当時のヨーロッパ大陸の音楽は同度(ユニゾン)、完全8度、5度、4度しか認められなかったのですが、イギリスのジョン・ダンスタブル(1390頃~1453)によって3度と6度の安定した音程が大陸に齎されました。デュファイやバンショアがそれを取り入れ、国際的総合様式としてのルネサンス音楽が成立したわけです。
(当協会会報第3号、戸口幸策氏小論文参考)
イギリスではその後、16世紀にヘンリー8世、その娘のエリザベス1世時代にトーマス・タリス、ウィリアム・バード、ジョン・ダウランド、シェークスピア劇音楽で有名なトーマス・モーリーなど大作曲家が続出しました。1600年以降のバロック時代に入ると、イギリスの音楽はピューリタン革命の影響もあり鳴かず飛ばずでしたが、王政復古を契機に復活し、チャールズ2世が再組織した王室礼拝堂の少年聖歌隊からジョン・ブロウ(1649~1708)、その弟子のイギリス最大の作曲家ヘンリー・パーセルを輩出しました。
ウエストミンスター寺院の記録によれば、ヘンリー・パーセルは1659年6月~11月に生まれ、1695年11月21日に逝去されたとなっています。ウエストミンスター寺院のオルガニストでもあった36年の短い生涯に膨大な作品を残しています。当協会はイギリス音楽復活に寄与したイギリス・バロック音楽最大の作曲家パーセルに光を当て、数回に亘りパーセルの作品を紹介していく予定です。

会場:
近江楽堂

48回例会


48回例会
演奏:
古橋潤一(リコ-ダ-)
山内彩香(ヴァイオリン)
西沢央子(チェロ)
能登伊津子(チェンバロ)
プログラム:
ソナタ第3番ニ短調(3声のソナタより)
SonataⅢ(Sonata of 3 parts in d-minor) Z.792

ソナタ第8番ト長調(3声のソナタより)
SonataⅧ(Sonata of 3 parts in g-major) Z.797

組曲第7番ニ短調
SuiteⅦ in d-minor Z.668

グラウンドハ短調
Ground in c-minor ZD.221

ソナタ第6番ト短調(4声のソナタより)
SonataⅥ(Sonata of 4 parts in g-minor) Z.807

グラウンドニ短調
Ground in d-minor ZD.222

  ソナタ第3番イ短調(4声のソナタより)
SonataⅢ(Sonata of 4 parts in a-minor) Z.804

トッカ-タイ長調
Toccata in a-major ZD.229

ト短調のソナタ
Sonata in g-minor Z.780

ソナタ第7番ホ短調(3声のソナタより)
Sonata Ⅶ (Sonata of 3 parts in e-minor) Z.796  

*Zはジンマ-マン(F.B.Zimmerman)による作品目録の整理番号。
*ZDは疑作

感想記: なかなか生演奏を聴く機会のない曲で、とても興味深かった。
3声とか4声がどれも美しく楽しかった。
(無記名)

主催: 特定非営利活動法人日本ルネサンス音楽普及協会
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   第47回例会 公開セミナ-&ミニコンサ-ト
   「中世・ルネサンスの社会と音楽X」
   ~フランドル、ドイツ、スペインの音楽活動~

 4月7日(土)午後2時~

音楽家が音楽を自由に表現できるようになったのは、19世紀になってからですが、中世からルネサンスの時代では、音楽家は社会の要求に従い、その枠内で自己の内面を表に現していました。
それ故に中世・ルネサンス時代の音楽を理解するには、当時の社会がどのようなものであったかを知る必要があります。
  社会の動きが理解できれば、社会の要請によって生まれた音楽の意味も明らかになると思います。
そこで当協会では、今谷先生著「中世・ルネサンスの社会と音楽」(新版)(音楽之友社刊)をベースにCDを聴きながら中世・ルネサンス音楽がヨーロッパ全土に花開いてゆく様を、社会との関わりから立体的に探求していきたいと企画しました。
47回例会
会場:
ル-テル市ヶ谷センタ-会議室
講師:
今谷和徳(共立女子大学講師)ルネサンス音楽史専攻 当協会顧問
ミニコンサ-ト:
μ Chamber Orchestra (ミュー・チェンバー・オーケストラ)
桐生ももか (朗読、歌、コードチター、フレームドラム)当協会会員
あまね伶 (ライアー、ポルタティフ・オルガン)当協会会員
 
プログラム
1.サー・オルフェオ (朗読、歌、ライアー)
この物語は、中世の英国で吟遊詩人たちによって語り伝えられてきました。原文は「ロマンス」と呼ばれる古い英語の詩ですが、今回は短くまとめています。
物語の起源はさらに古く、ギリシャ神話のオルフェウスの竪琴にまで遡ります。
サー・オルフェオは、ケルトの伝承とまざり、女性だけの狩人が登場したり、冥界は、妖精の国と重なり合ったり、微妙に変化しています。結末も、ギリシャ神話のような悲劇ではなく、ハッピーエンドになりました。
2.Caritas Abundat in Omnia
(歌、コードチター、ライアー)
ヒルデガルド・フォン・ビンゲン作曲
中世ドイツの神秘家、預言者でもあったヒルデガルドは、生ける光の幻視体験を経て、多くの楽曲を残しました。
第47回例会
 
3.Lamento di Tristano & La Rotta
作者不詳 (ポルタティフ・オルガン、コードチター他)
中世北イタリア発祥の曲で、「トリスタンとイゾルデ」や「アーサー王物語」に登場する伝説の人物に由来すると思われます。宮廷詩人によって伝承されました。
古楽ファンには嬉しい、サプライズ・ゲスト ホムンクルス (当協会会員 牧野克彦氏、河村剛秀氏 他1名) がLa Rotta から参加。
 
4.ホムンクルスによる特別演奏
ホムンクルスは中世の錬金術に出てくる小人から取った名前。
ハーディガーディ、クルムホルン、バグパイプ、中世フィドル、ハープ、リコーダー、ポルタティフ・オルガンなど中世・ルネサンスの楽器を使った3人編成の楽団。
当日はハーディガーディ、中世フィドル、リコーダー、パーカッションによる演奏。

第47回例会
感想記:
年に2回のセミナーを楽しみにしております。
ミニ・コンサートもあり充実した午後のひとときを過ごすことができ、ありがたいです。
今谷先生のわかりやすい解説で世界が広がります。
(栃木県 男性)
主催: 特定非営利活動法人日本ルネサンス音楽普及協会

   第2回「春のア-リ-ミュ-ジック・チャリティコンサ-ト」
   ~3.11から1年。「祈り」と「復興」~

 3月17日(土)午後7時~

会場:
近江楽堂(東京オペラシティ3F)
出演:
当協会会員の演奏家
演奏活動実行委員会をご参照下さい。)
    *詳しくはこちらを御覧ください。

2011年以前のコンサート・セミナーの模様はこちら