喜劇《アンフィトリオン》(Z572)より 付随音楽
《美しいアイリスとその恋人が》(サーシスとアイリスのダイアローグ)
Amphitryon (Comedy) : Fair Iris and Her Swain (dialogue between Thirsts and Iris)
セミ・オペラ《女予言者、あるいはダイオクリージャンの物語》(Z627)より
《なぜなのか、教えておくれ(ダイアローグ)》
Dioclesian : Tell Me Why
《ダフネよ、なぜ嘆くのか》(Z525)(サーシスとダフネのダイアローグ)
Why, my Daphne, why complaining (dialogue between Thirsis, and Daphne)
喜劇《独身の老人》(Z607)より
付随音楽
《アモレットとサーシスは》
The Old Batchelor (Comedy) : As Amoret and Thyrsis lay
セミ・オペラ《妖精の女王》(Z629)より
《ごらんなさい、夜の精も自らここにやってきた》
The Fairy Queen : See, even Night her self in here
《さあ、さあ、町を離れて》
The Fairy Queen : Come, come, let us leave the Town
~休憩~
セミ・オペラ《アーサー王》(Z628)より
《プレリュード~何だこれは(キューピッド)~
プレリュード~あなたはどんな力を持つ者なのか(寒さに凍える神)~
耄碌した愚か者(キューピッド)~偉大なる愛の神よ(寒さに凍える神)~
私が支配するところは(キューピッド)~プレリュード》
King Arthur : Prelude - What ho! - Prelude - What power art thou -
thou doting fool - great love - No part of my dominion - Prelude
《空の吹きすさぶ仲間たちよ》
King Arthur : Ye blustering brethren of the skies
《あなたが悲しげに訴えるこの苦悩は》
King Arthur : You say,'tis Love creates the pain
※Zはジンマ-マン(F.B.Zimmerman)による作品目録の整理番号。
17世紀のイギリス最大の作曲家ヘンリ・パーセル(1659-1695)の音楽を紹介するシリーズその4回目の本日はソプラノとバスの2重唱の曲を中心にプログラムを組みました。

1659年の秋にロンドンに生まれたパーセルは、はじめ王室のチャペルの少年聖歌隊員を務め、その後ジョン・プロウやクリストファー・ギポンズから音楽を学んだと思われますガ、1677年に王室の24人のヴァイオリンのための常任作曲家に任命されました。1679年、王室とのつながりを持つウエストミンスター・アピーのオルガニストとなり、1682年には、王室チャペルのジェントルマン(常任音楽家)となって、オルガニストの1人として、また聖歌隊の歌手として活動を始めるとともに、王室のために数多くの作品を作曲しました。王室音楽家の地位は亡くなるまで維持しますが、1689年以降は、活動の中心をロンドン市内に移します。しかし、1695年11月、わずか36歳の若さで世を去ってしまったのです。
ロンドン市内での活動で注目すべきものに、悲劇や喜劇などの劇作品に挿入された、劇付随音楽ガあります。《美しいアイリスとその恋人が Fair Iris Her Swain》は、ジョン・ドライデン(1631-1700)が1690年に上演した喜劇《アンフィトリオン Amphitryon〉に挿入されたダイアローグで、当時たいへんな人気を呼びました。《アモレットとサーシスは As Amoret and Thyrsis Lay)も劇付随音楽で、1689年に上演された、ウィリアム・コングリーヴ(1670-1729)の喜劇《独身の老人 The Old Batchelor》に加えられた2重唱です。《ダフネよ、なぜ嘆くのか Why, my Daphne, why complaining》は、1691年に出版された曲集に含まれているダイアローグですが、どの芝居かはわからないものの、これも劇付随音楽のひとつと考えられています。
パーセルがロンドンの劇場で上演するために書いた作品には、普通の芝居とオペラを組み合わせた形の、セミ・オペラと呼ばれる音楽劇があります。
その最初の作品は、1960年にドーセット・ガーデン劇場で初演された《女予言者、あるいはダイオクリージャンの物語 The Prophetess, or The History of Dioclesian〉ですが、《なぜなのか、教えておくれ Tell Me Why》は、その第5幕で歌われる羊飼いのミルティッロとコリンナの対話です。
本日の前半の最後には、1692年にドーセット・ガーデン劇場で初演されたセミ・オペラ《妖精の女王 The Faily Queen》から、2曲が演秦されます。はじめの曲は、第2幕で夜の精によって歌われる独唱曲、2曲目は、第1幕で歌われる妖精の男女による2重唱です。
プログラム後半では、1691年にドーセット・ガーデン劇場で初演されたセミ・才へラ《アーサー王 King Arthur》から3曲をご紹介します。まず、第3幕の寒さの場でキューピッドと寒さに凍える神が交互に歌う歌、続いて第5幕第2場のアイオロスによる独唱曲《空の吹きすさぶ仲間たちよ Ye blust'ring brethren of the skies》か歌われます。最後は、同じ第5幕第2場で女性と男性が歌う2重唱《あなたが悲しげに訴えるこの苦悩は You say, 'tis Love creates the pain》で締めくくられます。